制度導入の経緯   

そもそも市場とは何かという非常に難しい議論があり、金融システム改革法を立法する際にも市場をどのようなものとして定義づけるべきなのかという議論がなされましたが、市場の概念を再構築していったときにどのような展開を見せるのかやそれにふさわしい規制とはどのようなものかということを予測することは、まだ証券取引所に注文が集中していた当時においては非常に困難なことでした。

そうした中、平成9年6月の証券取引審議会の答申を受けて行われた金融システム改革法に伴う改正後の旧証取法では、市場によって規制のかかり方に差が設けられるようになりました。

 

証券取引審議会総合部会 市場ワーキング・パーティー報告書(抜粋)




すなわち、証券取引所が有価証券市場を開設するには内閣総理大臣の免許が必要である(旧証取法第80条第1項(金商法第80条第1項))とされているのに対し、証券会社がPTSを始めるに当たっては内閣総理大臣の認可が必要である(旧証取法第29条第1項第3号(金商法第30条第1項))とされています。また、店頭売買有価証券市場(店頭市場)については、これを開設する証券業協会自体がその設立に当たって内閣総理大臣の認可を必要とされていることから、有価証券市場を開設するに当たっての免許は必要ないものとされています(店頭市場に関する規則の制定・変更・廃止についての認可は必要です)。 この背景には、それぞれの市場の開設主体の形態の違いがあるものと思われます。つまり、PTSを開設する証券業(証券会社)は登録制、証券業協会は認可制で、証券取引所は免許制ということにあり、当然、それらに対する規制のかかり方も違ってきます。

また、証券取引所や証券業協会は自主規制という大きな権限を自らが持っている一方で、もともと市場参加者に対する自主規制機能を持たない一証券会社が開設するPTSにおいて、自主規制や公正な取引の確保の在り方をどのように考え、その上で注文執行機能の向上をどのように図っていくかは大きな課題となります。

なお、証券業は、旧証取法第80条第2項(金商法第80条第2項)において、有価証券市場の開設に当たって免許が必要とされる規定の適用除外とされています。すなわち、証券会社等が有価証券の売買、媒介、取次ぎ、代理を行う場合は免許が必要とされる有価証券市場の開設には当たらないとされています。

これは、証券業も本来は市場なのかもしれないということを視野に置きつつも証券業を免許制の適用除外としており、例えばある特定の売買価格の決定方法を用いて集団的にネットや専用端末の上で証券業を行うような場合には、登録制の証券業としてとらえられるのではなく、免許制の下でより高度な規制に服さなければならないという趣旨であろうと考えられます。 言い換えれば、価格形成機能が高度なものは免許が必要となり、逆にそれが高度でないものは証券業としての登録やPTSとしての認可を受けることで足りるという線引きがなされたものと思われ、突き詰めると高度な価格形成機能の有無が有価証券市場であるか否かの判断要素として旧証取法に加えられたと理解することができます。


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